醸造方法
火山性地質で斑岩、玄武岩、花崗岩を含む土壌。
平均樹齢は約50年のスキアーヴァ。自然酵母発酵。
36時間マセラシオン。
発酵終了後にプレスしてボトリング。
残糖を元に瓶内で再発酵させるメトド・アンチェストラーレ。
4ヶ月間澱と共に瓶内で熟成して最終的にズボッカトゥーラ(澱抜き)。
王冠キャップを付けます。
ワイン情報
淡いルビーピンクで、澱を含んだ濁りのある外観。
この年は香りが強く味わいも果実味がたっぷりと詰まっていてどストライクな美味しさです!
イチゴシロップ、フランボワーズリ、野ブドウ、桃、石灰の香りが合わさった甘いフルーツと土壌由来のミネラル感の 溢れる香り。
甘酸っぱいベリー系の果実感、酸はしっかりしているけどまろやかさがあり飲み心地は超最高。
生産者情報(インポータ・造り手・問屋情報)
プランツェックは3代目マルティン・ゴヤーが当主を務める小さなワイナリ。
ボルツァーノの町からほど近く、イザルコやドロミテに向かう道の入り口に畑とカンティーナを構えます。
今から約80年前、第一次~第二次世界大戦の間の時期に、祖母がこの地で”マーゾ”と呼ばれる住宅と農地セットの土地を購入します。
このマーゾは組合によって管理されており、基本的には購入した家系の長男が必ず受け継ぐ(現在は少し緩和)というアルト・アディジェの特殊性を感じさせるシステムです。
マルティンの家系はブドウ畑だけではなく、牛などの家畜、森、野菜、果物を含めて管理し、自給自足の生活を40年ほど送っていました。
アルト・アディジェは組合が非常に強い力を持っており、栽培された葡萄のおよそ70%は組合が買い取り、ワインにされています。
マルティンの家族も葡萄を販売していました。
1970年ごろからマーゾの状況も変わっていきます。土地を手放し町に仕事を求めて出ていく人々が増えました。
家畜たちは失われ、葡萄畑だけが残りました。このころは葡萄は安くしか買い取られない状況でした。
そのため葡萄を安く組合に売るのではなく、自らワイン醸造を行う生産者が少しずつ増えてきたのです。
プランツエックでは2001年からマルティンが小規模にワインの醸造を始めました。
当初は酵母やバリックを使用する近代的なワインに傾倒していましたが、畑は父の代から無農薬で栽培され続けてきました。
ある時友人がナチュラルなワインを造っているのを聞き、マルティンは興味を抱きます。
少しずつナチュラルな醸造を試み、2009年には自然酵母発酵とセレクション酵母に醸造を分けて行い、ワインの比較をすることにしました。
答えは醸造から10カ月後に解りました。
自然酵母のワインの方がよりテロワールを表現できると確信。
それから2010年以降はすべてのワインを自然酵母発酵で行うようになり、畑ではビオロジック、ビオディナミも取り入れ始めます。
自分たちの進む道をさらに明確にするために、今まで以上に他のナチュラルな生産者、そして伝統的な造り手を訪問してワインを学んでいきました。
彼らの来客室にはたくさんの偉大な生産者たちのボトルが並んでいます。
これらの多くを訪問して刺激を受けてきたそうです。
マルティンはワイン造りにおいて最も重要なことは畑だと言います。
彼らの畑は大きく分けて2カ所にあり、一つはカンティーナの目の前にある標高300メートルの北西向きの畑。
もう一つは標高700メートル近い南東向きの畑です。斑岩地質であり活火山だったころのマグマが固まってできた火成岩(玄武岩、花こう岩)を多く含みます。
粘土も混ざっていますが水はけが良く、標高が高い畑では粘土質がより強くなります。
栽培品種は伝統的なスキアーヴァやラグレイン、ピノ・ビアンコに加えて、マルティンがまだ近代的なワインを目指していた時の名残で、ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルローなどの国際品種が現在も栽培されています。
祖母の代から引き継いだペルゴラ仕立て、新しく仕立てた日当たりの良いスパリエーラが混在しています。
プランツェックのすべての畑は森に隣接しており野鳥も多く生息しています。
森は葡萄が違う植物が近くにあることで刺激と自然な涼しさをもたらしてくれます。
アルト・アディジェ特有の厳しい急斜面で栽培されていますが、その作業をマルティンは土地の伝統と潔く受け入れ、父の代から続くナチュラルで誠実な仕事を継続しています。
彼のカンティーナでワインを初めてテイスティングしたときは本当に衝撃的でした!
クールで淡々と話すマルティンは試飲の時もそのペースを崩しませんでしたが、最初の白ワイン”トンスル”を飲んだ時からこちらは興奮を隠せませんでした。
果実の甘いニュアンスを削ぎ落したかのようなタイトで引き締まった香りと味わい。
その味わいの広がりや余韻の伸びる特有のエネルギー表現がとにかく素晴らしかったのです。
もちろん畑を見て会話をしている時から期待は高まっていましたが、これほどまでに研ぎ澄まされた質感のワインはアルト・アディジェではもちろん、これまでのイタリアの旅の中でも出会ったことがありませんでした。
この質感はその後飲んだ全てのワインに共通して表現されていました。
ゲヴュルツ・トラミネールの”カロリーネ”はとてつもないスケールを放ち、スキアーヴァを用いた赤ワイン”レッジェーロ”と”カンピル”は華やかさと堅実さを見事に表現しています。
これがスキアーヴァの理想像なのではないか?とすら思いました。
マルティンは自身のワインについて「僕は魔法使いではない。すべては畑から生まれているんだ」とクールに落ち着いて語りました。
ですが、畑、醸造での自然で健全な仕事を行い、それぞれの畑と樹の個性をしっかりと見極めワインに導いているのは彼なのです。
若い畑のエネルギーがまだ溌溂とした葡萄はその若さを生かした方向に、樹齢が高い畑の活力は弱まってきているが複雑味が増し円熟してきた葡萄は果皮も長く取り入れるなど、アプローチをしっかりと変えています。
ナチュラルな仕事だけではなく、畑とワインを結び付けた彼自身のセンスがこの地で特別に輝くワインを生み出した大きな理由になっていると感じました。
クールに見えるが毅然とした強い意志と類まれなセンスを感じるマルティンと彼の極上のワインにすっかり魅了され輸入を行う決心をしました。
アルト・アディジェの真の力を世界に知らしめるスケールのあるワインに衝撃を受けるでしょう。
(インポーター様資料より)