Spain Tenerife / スペイン テネリフェ島
隆起した標高3718m大火山がもたらすマグマ火山土壌と編み込み樹の奇跡
テネリフェ島はカナリア諸島の島で最も人口の多いカナリア諸島自治州を備えるカナリア中心都市。
人口は90万人。面積は東京都の面積より一回り小さい2034km2。
スペイン国家として最高峰の元火山テイデ山3718mが島の、ど真ん中に聳える。
15世紀まで、ヨーロッパ最古の石器文化を営むグアンチェ族(アフリカの部族)が原住民として暮らしていた。
カナリア諸島といえば鳥のカナリアからの語源と思いがちだが、語源はグラン・カナリア島の「Insula Canaria」(「犬の島」の意)に由来する。鳥でなくて犬だったのですね。
「Insulae Canariae」として諸島全体を指す複数形の呼び名になった。
自由貿易港として栄え、貿易、防疫共に強い主権を誇示していた。
有名な話として1832年1月6日、進化論で有名なダーウィンが乗ったビーグル号がやってきた。
しかし、コレラを恐れた当局が上陸を禁じたとパトリック・トール著『ダーウィン』にも綴られている。
カナリア諸島は常夏と言うより常春! 真夏でも25℃前後と夏の日本と比べても過ごしやすく、乾燥地帯で強風が吹く土地。
スエルテス・デル・マルケス
2006年創業のスエルテス・デル・マルケスは、テネリフェ島の中心部から北側ラ・オロタヴァに位置する。
南西に僅か13km先にスペイン最高峰テイデ山(標高3718m)が鎮座し、北に5km行けば大海原の海、3718mと海抜ゼロの間の標高300m~750mの間の15区画に自社畑11ヘクタールを所有する。
専売契約農家の標高800mまでの畑を含めると15ヘクタールとなる。
樹齢はなんと180年樹まで現役の10~180年樹。
全ての畑は斜面で、最高斜度38.7度と凄まじい斜面にDO.Valle de la Orotava内に自社畑を持つ。
スキーをしたことのある人なら、如何にバカげた斜度なのか、すぐに理解できるだろう。
スキーのジャンプ台の最大斜度は35度と決められている。
上から見たら、間違いなく足がすくんでしまう。
葡萄造りには、学問上テロワールより水捌けが大事とされる説がはびこる昨今。※亡ドゥニー・デュブルデュー教授
その水捌けの良さでは天下一品と言えるだろう。
テネリフェ島は元火山のテイデ山が創生した島と言える。
土壌はもちろんゴリゴリの火山性土壌。
地殻を形成する為に必要なケイ酸(二酸化ケイ素)別名シリカをふんだん過ぎる圧倒的な量を持つマグマは、
まさしく大地の源である、絶大なる自然の猛威のパワーと言える。
また、隆起により海底に蓄積した養分、微生物、海洋生物や貝類からのミネラル、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、その他等々が塊のまま、地表、地中に押し上げられ存在する火山の恵みは、何にも替え難い特産である。
このテロワールには間違いなく、海と大地と天と風の自然の恩恵を、漏らすことなく今からも浴び続けていく。
トレンサード -編み込み樹-
「トレンザード編み込み仕立てのコルドン、たぶん世界でここだけの仕立てだよ」
と、世界に類を見ない畑を案内してくれた。
いつの昔からか不明、テネリフェの樹の仕立ては昔からこのスタイル。
土の中をくぐっては地表に上がってくる太い枝の束。
地表から間隔をあけて造られた編み込みの棚。
単一品種、混植、100年樹以上の区画、10年~100年樹が入り乱れている区画と様々な15区画。
全てが自根でフィロセキラの無い根っこまで自分の根。
自然酵母、自然発酵。
不要なSO2は1mgたりと使わない攻め攻めの自然づくり。
この編み込みも強風と春と夏に拭く熱風の防御形態。
葉の集まりと、枝、つるの絡まりあった真ん中に実を付ける葡萄を確かに双璧となって守っているように見える。
孤独で隠れる道を選んだランサローテの畑とは正反対の集団で連合で絡まりあったゴリゴリの3密状態での防風形態だ。
機械など入れられる状態では無いので、否応なく全て人の手作業になる。
公的検査機関データの各SO2量を見ると、明らかに限りなく低SO2で中には無添加と同等レベルのSO2量だ。
残糖分を見ると、ほとんどのワインが<0.3g/Lと日本の厚生省が認定している公的検査機関でのデータでは
<0.3g/L糖分検出不能、ほとんど無糖と言えるワインとなっている。
アルコール度数はジョナタンの挑戦的な拘りからどんどん低くなっている。
14.5度あった2年前のワインが12.5度になっている事は珍しくない。
アルコール度数も色も薄めに変わっているが、味は深くなっているように感じる。
逆に偉大さが強くなっているようだ。
極端すぎるスキーのジャンプ台より傾斜角度のある超水捌け土壌。
3718mもの火山が造ったマグマ火山性土壌
お互いがお互いを守りあった編み込み樹
世界に例のない特別なテロワール。
数々のワインラバーを虜にしてきた。
白ワインの独特の香ばしさは、世界に星の数ほどある、どの白ワインとも全てが別格の味わい。ある白ワインは健康で溌溂として、ほっぺを赤く染めた、純真な幼い少女のような可愛さを私はいつも感じる。大人(※おっさん)になり、薄汚れてしまった心が洗われるようです。
独特の焼けた大地の感覚と年々リッチさが増している赤ワインはゴージャスで気品があり、人間味があり、優しさと包容力のある完成された洗練されつくしたものに触れた時のような、高揚と幸せとリッチさを与えてくれるワインだと私は感じている。ワイン評価ポイントもロバートパーカーやギアベニン、デキャンタ等こぞって95点、94点などなど、もはや五大シャトーと匹敵する、あるいは超える年もあり、メロメロさが納得出来る。
評論家ロバート・パーカーも2016年の「Matter of Taste」において、カナリアの「スエルテス・デル・マルケス」をスペインで最も象徴的なワインとして高い評価を与えています。
スエルテス・デル・マルケス2018ワインのワイン・アドヴォケイト誌のロバートパーカーポイント表が送られてきた。
手元にあったスエルテス・デル・マルケス2014ヴィンテージ表があったので比較してみた。
2014 エル・シルエロは95点で5大シャトーと匹敵している。
驚くべきは赤ワインの全てが92点以上で、かの、カロン・セギュール以上のポイントを獲得している。全てである。
通常ファーストワインが高得点1品のみ獲得し、セカンドワインはガクンとポイントが低く、サードはポイント表示すら出来ない有名シャトーが多くあるのが超一流シャトーであるが、全てのワインで高得点を獲得するなど不可能なことなのに、現実に成しえていることが確認できる。
デキャンタやワインスペクテーターなどはよくプロモーションに活用されて意外な高ポイントになるケースがあるが、それでも1ワインの話しだ。
いくら金を積んだとしても全ワインが高得点評価になる事は困難だ。
2018年のスエルテス・デル・マルケスは最高ポイントで96点。
五大シャトーの2015年、2018年などは100点や99点評価が多く流石としか言えないがセカンドワイン、サードワインはかなりのポイントが落ちる。
スエルテス・デル・マルケスの赤ワインは6℃に冷やしても全てが美味しい。
というか、冷やした方がむしろ圧倒的に美味しい。
ロバートパーカーやペニンガイド、デキャンタ等で全ワイン高得点をたたき出しているが、彼らは常温でのテイスティングしか採点を付けていない。
6℃での美味しさ、味の飛躍は理解しているとは思えない。
もし、彼らが6℃のギンギンに冷えた赤ワインをテイスティングしていたなら確実に2~4ポイントは高くなるのだろうと思う。
日本でも高名なDUADボルドーワイン大学公認鑑定士ですら、こういったテイスティングはしたことが無かったそうだ。
インポーター:ヴォガジャパン