醸造方法
自生酵母
9月30日収穫
除梗し、クヴェヴリで6ヶ月間醸し、発酵・熟成
無濾過・無清澄
瓶詰め:2021年6月
SO2収穫時:50mg/L トータル:38mg/L
ワイン情報
ジョージア・サメグレロ地方、9月30日に収穫したムツヴァネを除梗しクヴェヴリで6ヶ月醸し、発酵・熟成しました。黄色主体の黄金色、しっかりとした粘性、柚子キャンディやハチミツレモン、キャラメルの香り、たっぷりの果実味にドライながら甘味のある味わい、柚子ピール香がエッセンスとなりアフターまでエレガントに長く続きます。
生産者情報(インポータ・造り手・問屋情報)
ジョージア西部の重要ワイン産地イメレティ、そこよりもさらに西に進んだジョージア北西にSamegrelo(サメグレロ)地方があります。
この地方の東隣にImereti(イメレティ)、Racha-Lechkhumi(ラチャレチュフミ)、西は黒海、南はGuria(グリア)地方が面しております。
ブドウ畑のほとんどは、山間部を縫うように流れる5つの川の渓谷の斜面や丘の中腹にあります。
意外かもしれませんが、気候は亜熱帯気候です。
冬は寒く、夏は暑く長いです。
高い湿度と豊富な降水量のため、この地方の低地はブドウ栽培に適しておりません。
一方、標高が200m前後以上の川の上流地域や山間部などの標高が高いエリアは事情が異なり、湿度と降水量はかなり低く大陸性気候の影響と内陸からの風の影響を強くうけます。
さらに畑が南側の斜面にある場合は、豊かな日照も得られブドウ生育に好影響を及ぼします。
エリアや標高、斜面の向きによって素晴らしいワインが造られているのがSamegrelo(サメグレロ)地方です。
土壌は泥灰土が豊か白亜質粘土石灰土壌です。
山間部の斜面や丘の中腹では、その粘土石灰の上層を炭素を豊富に含んだ泥灰土や砂利、黄土が構成しております。
栽培や醸造面においても、南隣Guria(グリア)地方と同じくSamegrelo(サメグレロ)地方はとても希有な特徴を有しており、20世紀までmaghlari(マグラリ)というブドウのつたを木に這わせる栽培方法を取っており、独自の文化を育んできております。
9世紀にこの地域でフィロキセラが蔓延する以前までは、60以上のローカル品種が存在したそうです。
この地方で最も有名な白ブドウといえばやはりTsolikouri(ツォリコウリ)、赤はジョージアでも珍しい土着品種のOjaleshi(オジャレシ)です。
主にSamegrelo (サメグレロ)地方のそれと東隣Racha-Lechkhumi(ラチャレチュフミ)地方で作られるOrbeluri Ojareshi(オルベルリ・オジャレシ)とに分けられるこの品種は、
例えばガメイでもボジョレーとロワール、オーヴェルニュではまったく異なるティストが感じられるように、タイプが異なるといわれております。
収穫は11月後半、時には12月や1月に行われるほど生育はゆっくりで酸みを残しながら穏やかに熟していきます。
Tekhuri(テフリ)川上流沿いは最もこのOjaleshi(オジャレシ)の栽培に適した土地だと考えられております。
さて、ここから生産者のお話です。
イメレティの州都クタイシから北西へ車を走らせること1時間半、距離にして約70km。首都トビリシからは西北西へ約300km弱でしょうか。
Samegrelo(サメグレロ)地方、Martvili(マルトヴィリ)県、Targameuli(タルガメウリ)村、上述したTekhuri(テフリ)川の上流にVino Martville Marani(ヴィノ・マルトヴィレ・マラニ)はございます。
訪問したのは1月の寒い時期、曇天な空模様。小雨がぱらついておりました。乾燥した東のカヘティ地方よりもやはり潤いを感じます。
ガイドの方の後ろにつき門を開け敷地に入り、緩やかな斜面を登っていきます。
途中には小川が流れております。その丘の頂上に小さな2階建ての愛らしい質素な一軒屋がひっそり建っていました。
まさかここでワインを造っているなんて想像もできません。
ノックしてでてきたのはガッチリした体格、くりくりの黒目、フレディ・マーキュリーを彷彿とさせる口髭、エキゾチックなイケメンです。
あまり笑わず口数も少ない方でしたが、雰囲気はとても優しく感じました。
1階が醸造所、2階が住居でなんとこのわずかなスペースでワイン造りを営んでおります。
夫婦ともに別々で小さなワイナリ-を設けワイン造りをしております。
2012年、5人の友人で設立されたVino Martville(ヴィノ・マルトヴィレ)は、Martvili(マルトヴィリ)県のTargameuli(タルガメウリ)村にあり、
そこは中心人物のZaza(ザザ)が育った村であり幼少期に祖父や祖母と多くの時間を共にした思い出ある場所だそうです。
彼の祖父もかつてワインを造っており、幼少期に祖父を手伝ったのが彼の初めてのワイン造りの経験です。
設立初年度の2012年、Ojaleshi(オジャレシ)わずか400本のワイン生産量から始まった彼ら。
2017年は総生産量がやっと3800本に達し、2018年は8000本、しっかりと地に足を付けゆっくりとしたペースで成長していっております。
彼らのワインは買いブドウから造られたワインが中心です。
Ojaleshi(オジャレシ)はRacha-Lechkhumi(ラチャレチュフミ)地方の長年のパートナーであるブドウ農家からのブドウを使用しております。
同地方とImereti(イメレティ)地方のブドウ農家と仕事を共にしてきておりますが、ブドウ畑も実質は彼の考えと経験をもとにブドウ栽培を行っているそうです。
Martvili(マルトヴィリ)県の年間降水量は1580㎜もある一方、山間部や上述したTekhuri(テフリ)川の渓谷ではこの数字はグッと下がり、東(大陸内部)からの風の影響も強く受けブドウ畑とワイン造りには最適な土地と考えられております。
中でもOjalashi(オジャレシ)との栽培相性は抜群と考えられているそうで、このTargameuli(タルガメウリ)村はまさにTekhuri(テフリ)川そばにあります。
そしてついに、この地に彼らが植えた0.5haのOjaleshi(オジャレシ)の畑から2018年初めての収穫が行われ、2019年にはさらに1haの土地に、
Tsolikouri(ツォリコウリ)、Krakhuna(クラフナ)、Aladasturi(アラダストゥリ)、Ojaleshi(オジャレシ)を植樹しました。
一通りの試飲を終えた後は、Zaza(ザザ)とKeto(ケイト)のご夫婦とガイド、ぼくらで宴のスタートです。
Zaza(ザザ)は英語が話せないので全て奥様が通訳してくれます。
手造りの家庭料理と素朴な味わいの彼のワイン、場が和むのにさほどの時間もかかりませんでした。
彼のワインの大きな特徴は、マセラシオン由来のタンニンや渋みが非常にソフトで繊細なことであり、とてもキュートで搾りたてのような果実味を有していることで、とてもシンプルかつ立体的です。
ジョージアのワインにはやはりシンプルな家庭料理がとても相性がいいと感じます。
美味しいワインと料理は、いつだって国境なんてすぐに飛び越えダイレクトに胃袋とハートを射止めてくれます。
(インポーター様資料より)