醸造方法
8月24日収穫
全房で空気圧式圧搾
ルモンタージュしながらセメントタンクで発酵
セメントタンクとグラスファイバータンクで熟成
無濾過・無清澄
瓶詰め:2021年12月
SO2無添加 トータル:25mg/L
ワイン情報
ボージョレ南部、紆余曲折ありながらもワイン造りを営む6代目として家業を継いだヴィクトール、黒腐病の被害が大きく苦労した年でした。
ガメイを全房でプレス、セメントタンクでルモンタージュしながら発酵しセメントタンクとグラスファイバータンクで熟成しました。
アプリコットや梅、さくらんぼ飴の香り、やさしいタンニンに冷涼な酸味と収斂性も露になり、梅の酸とタンニンが余韻が演出します。
生産者情報(インポータ・造り手・問屋情報)
ナチュラルワインを敬愛しているファンにとっては、ボージョレは聖地のひとつだと思うので何をいまさらという感じだが、ここ数年、ボージョレがより熱い。
ピノやガメイやシャルドネを造りたいという若手が、ブルゴーニュやそのお隣のジュラでワインを造りたいと願っても土地価格やその由緒ある畑の歴史(相続)の面で畑を取得することは非常に困難である。
そういった若手や新規参入者が目を付け、目指し辿り着く生産地がボージョレになっているという。
なのでドンドン新しい生産者が出てきているらしい。
その中で今回は、まだまだ粗削りなので長い目でぜひ一緒に育てていってもらいたい、そんな生産者をご紹介したい。
ヴィクトール・ブロンダン。
サン・テティエンヌ・デ・ウリエールというボージョレ南部の村にカーブと一部の畑がある。
2021VTGまではカーヴは叔父から借りていたが、2022年から新しいカーヴへ移ったそうだ。
元々は薬剤師の勉強をしていたが、何かを造る仕事をしたいという夢を持っており方向転換を決心。
代々ワイン造りを営む家業を6代目として継いだ。
彼が継いだ畑は5.5ヘクタール、2013年から土壌の耕運をはじめ、2015年には一部のキュベでSSA(亜硫酸無添加のワイン)を生産、2018年以降は3つの全てのキュヴェをSSAにした。
初訪問して握手をしたのは2022年2月だが、初めて彼のワインを飲んだのはコロナ禍真っ最中の2020年夏。
懇意のクルティエの方からサンプルを夏に送ってもらい、そのjuiceのピュアさとしなやかさ、ピアノ線のような繊細さに惹きつけられた。
真夏のAIR便で届いたのでワインの状態はそれはひどかったのだが、何か光るものを感じ、先日リリースしたWeingut BergklosterのJason同様に“なんかジュリアン・メイエ”みたいだなぁ、、、と感じたメモを残している。
最近、やたらと“ジュリアン・メイエみたい”と言っているようだが、たまたま同じように感じた生産者が続いただけなので、このボキャブラリーの無さをご容赦頂きたい(笑)。
試飲時にどうしても長く付き合ってきている尊敬する生産者達と比較したり照らし合わせてしまうのだ。
訪問時、ワイン同様、一緒に時間を過ごす中でとてもナイーヴで繊細な印象をもった。
まだまだ自分と自分が造るワインに全然自信がないようだ。
特に気になったのは、訪問時の途中で別の新規生産者も参戦した時。
その彼のワインも一緒に試飲したのだが、表情にはださないようにしていたのだが、Victorに“彼のワインの方が好きそうだね?”と言われ、半ば見抜かれてしまった。
実際、その時点での完成度はその途中参戦者のワインが上だったし実際にとてもいいクオリティとキャラクターをもっていた。
しかし僕が大事にしているのは、ワインのあれこれと共にその人の将来性と人格(性格)と縁。
先に彼と縁ができたし、ワインのキャラクターは好きだし、出会って感じたナイーヴで内気でとても優しそうな雰囲気もつい応援したくなるし(若い時のオリヴィエ・ルマッソンに雰囲気が似ている)、なによりこの先とても日本人好みなワインを造りそうな気がしてならない。
彼とコツコツと共に歩き、一緒に成長し成功したいと願っていると説明した。
困難があろうとも一緒に生産者と成長していく、弊社がこれから大事にしていきたい重要な要素だと思っている。
叔父から借りていたカーヴ前にある花崗岩と砂質の混ざった土壌の畑には、樹齢80年のガメイが栽培されていてヴィクトールの馬が耕運している。
造られるキュヴェは今回発ご紹介するキュヴェ・ジョンシェール。
キュヴェ・シャルプネィ・シャルドネは、粘土質や花崗岩が混ざった土壌で育てられた樹齢45年のブドウが使われている(今回は未輸入です)。
キュヴェ・シャルプネィ・ガメイで使われる一部のブドウは1922年に植えられたものであり、非常に高樹齢で収量が低い。
ここではヴィクトールはAgroforestrie(アグロフォレストリー=農林複合経営)の考えに従って、畑の耕運はほとんど行っていない。
森のエコシステムを畑内でも取り入れようとする考え方である。
2018VTGのワイン生産に特に問題はなかったが、続く2019VTG、日本発輸入として今回お披露目するVTGだが、畑内で防虫対策として植物のエッセンシャルオイルを散布したところ、夏の暑さでブドウの葉たちが焼かれてしまい、ブドウが十分に美味しく熟すことができなかった。
2020VTGは同じ間違いは繰り返さないで名誉挽回をする!と張り切っていたが、ブラックロットの被害が大きく、これまたブドウの多くが収穫前になくなってしまった。
2021VTGは、他地方に比べると大きな霜の害もなく順調に進んでいたが、でも花が無事に咲いて実がつき、収穫されるまですべて予想不可なのがこの仕事。
結果、そこそこの収量がとれた。
今回、まずガメイで造るシャルプネイ2019VTG(赤)、ジョンシエール2020VTG(赤)の2キュヴェをほんの少量ずつとはなるが、ぜひともガメイ好き、ボージョレ好き、ナチュラルワイン好き、そして日本ワイン好きな方々にまずはぜひお試しいただきたい。
2022VTGこそは!と毎日畑に出て、丹念にブドウの世話をしていたその甲斐あって、2022VTGは質量ともにこれまでで一番の出来だ!と先日ヴィクトールから連絡が入っている。
2022VTGはこれまでと違い、7種類にもキュヴェを分けてつくれるようで、さぞカーヴ内は賑やかだろうし、彼がエキサイトしている様子が文面からも伝わってきた。
研究熱心で心優しい性格のヴィクトールのワインには心と体を癒してくれる不思議なパワーが感じられる。
皆様にもぜひ体感していただきたい。
(インポーター様資料より)