愛され続ける小粋なビストロ
イレール人形町は、下町情緒があふれ、伝統と活気が行き交うこの町に灯りをともす。
テーブル席ではデートや記念日、
常連に人気はカウンター席
カウンター席での最初の1杯。華やかで綺麗な酸、旨味やミネラリーな塩味もたまらない。
Flora/ フローラ
生産者:ミヒャエル ギンドル
生産地:オーストリア・ニーダーエステルライヒ
品種:リースリング、ショイレーベ、ゲルバームスカテラー
下町のビストロというには洗練されすぎて…
3つの充実なコースも用意されているが、アラカルトの品数も豊富で目移りする。
誰もが頷く、イレールの野菜料理の美味しさ
『季節の彩り野菜のテリーヌ レモンオリーブの香り』
イレールの名物、大人気ロングランのお野菜だけの美しいテリーヌ。
『タスマニア産スモークサーモンのミキュイ』
ミキュイとは低温で半分火を通し、半生の状態にしあげたもの。
しっとり、ふわっと柔らかいサーモンを、アスバラガスとクスクスを一緒に頂く。
イレールの料理は身体に優しい
「野菜が多く、バターやクリームは控えめ」カウンター越しに真摯に食材と向き合う島田シェフ。
素材の味を最大限に活かし、旨味を引きだす。美しく繊細な野菜料理は、女性のみならず、ファンが多い。かつては恵比寿でフレンチレストランを極め、人形町という土地とビストロというスタイルを選んだ島田シェフ。生産者、お店に訪れる人達と近い距離で、食事やお酒を提供し、時折、料理の合間に、調理中の時とは異なる顔を見せてくれて楽しいひと時を演出してくれる。
絶品、肉料理のスペシャリテ
『シャラン鴨の胸肉のロースト ハチミツとコリアンダー』
シャラン鴨とシャラン産の違いのお話を伺う。お薦めいただいたのは、より厳格な基準をクリアしたというシャラン鴨。
蜂蜜とフランボワーズビネガーを煮詰めたミエールソースに、深い赤みの柔らかい肉のローストは芳醇な味わい。
今回、お料理と頂いた赤ワインは、日本のビオワインやナチュラルワインの先駆者、新井順子氏がロワールの地で造るDom des Bois Lucas Cot 2015。
Dom des Bois Lucas Cot 2015 / ドメーヌ・デ・ボワ・ルカ コー
生産者:ドメーヌ・デ・ボワ(新井順子)
生産地:フランス / ロワール
品種:コー
何がナチュラルなのか…
以前から、イレールで提供されているワインはナチュラル寄りだが、いつの時代でも、島田シェフのワインの基準は料理と合うこと。「料理と同様に、伝統や基本があってこそ新しい流れがあり、そこを軸に、本当に美味しいワインということを考えたい」
紹介していただいたワインのおすすめポイントは『美味しい』
自然派らしく変化やその時々のワインが楽しめるセバスチャン・リフォー。ちゃんとベーシックなワインの骨格もあり、ナチュラルさも兼ね備え、ポテンシャルが期待できるジュリアン・ピノー。両方、島田シェフが最近のお気に入りの生産者だ。ドイツのペティアン・ナチュレルは、ピンポイントに美味しいペットナットなのだそうだ。
Snoglyと書かれたハーフボトルは、イレール人形町と姉妹店『トワビス』のデザインをされた若井氏が、北海道の仁木町で作っているワイン。リリースしてまだ2年目だが、これから3年後ぐらいをめどに、ここでイレールのワインも作る予定である。ピノグリとピノノワールの淡い赤、このピュアな若いワインと出会い、これからの始まるイレールと道産ワインの物語に期待を寄せずにはいられない。
Sancerre blanc “Quarterons 2020 / サンセール・ブラン クァルトロン 2020
生産者:セバスチャン・リフォー
生産地:フランス / ロワール
品種:ソーヴィニヨン・ブラン
Hautes-Cotes-De-Nuit ‘Le Prieure’ 2020 / オート・コート・ド・ニュイ ‘ル プリュレ’
生産者:オレリアン・ヴェルデ
生産地:フランス / ブルゴーニュ地方 コート・ド・ニュイ地区
品種:ピノ・ノワール
Petillant Naturel / ヴァルドルフ ペティアン ナチュレル
生産者:ヴァイングート ヴァルドルフ、マキシミリアン・デクスハイマー
生産地:ドイツ/ラインヘッセン
品種:シルヴァーナー80%、ゴールドミュスカテラー20%
l’Ecumes des Nuits / レキュム デ ニュイ
生産者:ジュリアン・ピノー
生産地:フランス / ロワール
品種:カベルネフラン
Roche Blanche / レキュム デ ニュイ
生産者:ジュリアン・ピノー
生産地:フランス / ロワール
品種:ソーヴィニヨンブラン
Snoglys 2020/ スノグリス 2020
生産者:若井さん(仁木ヒルズ醸造)
生産地:北海道 余市郡仁木町
品種:ピノ・グリ、ピノ・ノワール
「結局、人が好きなんですよ」
食事やワインを楽しむ店内のお客様やスタッフ達、仲間たちに慕われ、気さくな島田シェフ。とびきり美味しい料理とワインを提供し小粋な場を作り続ける。本質をつくその生き方に男気を垣間見る。
オーナーシェフ 島田哲也
23歳で渡仏、パリの3つ星レストランなどで修行をし、帰国後、恵比寿に一号店「イレール」をオープン。コンセプトは、体にやさしいフランス料理。日本の四季を通じて育つ野菜、”日本の食材”を用いたフランス料理の人気店となる。当時、二子玉川、恵比寿のアトレ、三越など、系列店を展開、料理の鉄人や、バラエティー料理番組にレギュラー出演など、活動は多岐に渡り、話題となる。常に新しいチャレンジを続け、2013年9月『イレール人形町』をオープン。
日常の中の非日常
「人形町のビストロは、当初の非日常を楽しむ特別なレストランとは異なり、寧ろ『日常』に近く、親しみやすく、楽しんでもらいたい場なのかもしれない」
『イレール』とは、『非日常』という意。島田シェフが32歳で、恵比寿で一店目のレストランを始めた時に付けた名前だ。時代の流れやニーズに柔軟に向き合い、センスと個性で、変化や新しいことに挑んできた島田シェフが、自分の分身のようにずっと大切にしているのが、この最初に付けた店名である。
Interview / photo / text
山脇ミチル|Michiru Yamawaki
※お店の情報は取材を行った(2022年 8月)のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニューなど、店舗情報についての最新の情報はお店のSNS、または店舗に直接ご確認ください。営業時間等、変更になっている場合もございます。