醸造方法
ピラニーズ・レッドバンク地域に1988年に植樹された樹齢33年のカベルネ・フラン。
標高420m、無灌漑で低収量を貫く畑(カンブリア紀の砂岩に石英やアイアンストーン、赤みがかった粘土質)から収穫されたブドウは除梗され、コンクリートタンクにて野生酵母による醗酵。500Lの古樽で熟成。
ノンフィルター、清澄剤不使用。少量の酸化防止剤と共にボトリング。
ワイン情報
冷涼な地域のシラーを想わせるようなライトなテクスチャーにピノ・ノワールのような上品さ。
アクセントのハーブ感に滑らかで心地よいタンニン、そして余韻。
細部の繊細さに見事な完成度を見ることができる素晴らしい赤。
生産者情報(インポータ・造り手・問屋情報)
2018年にグルメワイントラベラー誌によって「Young Winemaker of the Year / 最優秀若手醸造家」に選出され、冷涼な気候を有するヴィクトリア州中西部の畑から刺激的なワインを造りだすLatta Vino / ラッタの「Owen Latta / オーウェン・ラッタ」。
既にオーストラリアにおいて才能溢れる新世代の醸造家として国内で圧倒的な評価を得ているオーウェン(1984年生まれ)。
突如現れた天才のように誤解されがちな彼ですが、実際はオーストラリアのワイン業界が培ってきた歴史が複雑に絡まり、遂に生んだ傑物といえます。
彼の両親が1983年に植樹を始め、1994年に設立したワイナリー「Eastern Peak」の2代目であり、文字通りぶどうとワインに囲まれて育ったというオーウェン。
Eastern Peakは自然との共存を選んだオーウェンの両親が、オーストラリアの伝説的醸造家Trevor Mast氏をメンターとして標高430mに位置するCoghills Creekの地に畑を開墾してきたワイナリー。
当時から化学的な薬品を用いず、無灌漑(近年では気候変動の影響を受け地下水を最小限で使うことがある)で栽培を続け、ワイナリーにおいても人の手による過剰な介入を避けてきたといいます。
オーウェンが醸造家としてデビューしたのは1999年、実に彼が弱冠15歳のときのこと。
その年に彼の父親Normanが作業中の事故で離脱した際に、自然な流れで当時学生だったオーウェンがヴィンテージを担当することになったのです。
その後も家業を手伝いつつ、大学でワインサイエンスを修了。
2006年にワイナリーを継ぐべく戻ると、別のワイナリーでも醸造家として働くことで経験と副収入を得ながらブルゴーニュを中心としてヨーロッパを訪問。
そこでの経験から自分たち一族がやってきたことが正しかったという確信を得ると、2012年にはヴィクトリア中西部の畑からの色彩豊かなブドウ(信頼のおける農家からの買いブドウ)で、実験的な試みを多く取り入れたワインをリリースするべく「LATTA」を立ち上げると、瞬く間にオーストラリアのプロフェッショナルたちを魅了していったのです。
元々化学物質に汚染されていなかった自社畑は現在有機農法に移行しており、今後はバイオダイナミック/ビオディナミ農法への移行が進められています。
醸造面においても、スキンコンタクトの白、ミネラル溢れる多品種ブレンド、ネッビオーロのロゼなど溢れんばかりのアイデアによるワインが野生酵母による醗酵、最低限の酸化防止剤以外の添加物不使用という基本アプローチの上で造られています。
しかし、若くも老練なオーウェンは「すべては土壌が健全であり、そこにブドウの樹が健全に育まれることから始まる。醸造はその延長線上にあるもので、僕にとっては比較的簡単なもの」と言い切ります。
だからこそ評論家のマイク・ベニーをして「若手だが、信じられないほど造り手としての経験の深さを感じる。間違いなく若手醸造家としてトップだが、近い将来オーストラリア全体のトップに立つだろう」と言わしめる凄みが宿っているのです。
(インポーター様資料より)