Mellow(メロウ)

ワインも人も、料理も空間も、柔らかく心地よく
熟成を続ける馬喰横山のメロウなワインバル

昼はモチモチパスタのランチ、夜と週末は、ナチュラルワインと美味しいご飯とおつまみを楽しむ。馬喰横山、東日本橋エリアの小さな灯火のようなお店『MELLOW』、その小さな店内にはいつも笑顔があふれる。

カウンター８席ほどの柔らかな空気の流れる空間。調理からサービスまですべてソムリエの資格も持つ益田さんがひとりで切り盛り。泡、ロゼ、オレンジ、白、赤、など、その日のお勧めのナチュラルなグラスに出会える。

ワインを片手に、いろいろつまみたい

そんな希望も叶えてくれるお野菜たっぷりのメロウの前菜盛り。旬の食材など、いろいろちょこちょこと食べられる嬉しい一皿。

ブロッコリーとアンチョビオイルマリネカラスミ掛け
鳥白レバームース
カワサギのマリネ　フランボワーズビネがレッド
パプリカのペペロナータ　アンチョビ
きのこのマリネレモン風味

季節ごとに変わる豊富なメニューはこれまでの修行の集大成

カウンター越しに会話をしたり、ワインをサービスしたりしている益田さんが、魔法の様に出来立てで提供される品々。さて、今夜は何にしようかと黒板メニューを眺める。

「前菜も料理も野菜をいっぱい使いたい」

パクチーとマッシュルームと砂肝のサラダ
健康的でワインにもぴったりの人気メニューのひとつ、亜鉛やビタミンBが豊富な砂肝に、抗酸化作用に優れたパクチー、そしてきのこ、益田さんの優しさが感じられる逸品だ。

低温調理でじっくりと

子羊背肉のロースト（香草パン粉とタップナート）
「ひとりで沢山の料理を提供する工夫のひとつが低温調理、オーダーが入ったらすぐに低温調理機に入れる」簡単そうに説明する益田さんだが、実際は、その後フラッペでパチパチと焼いて、オーブンへ…と幾つもの工程をさらりとこなしている。香草のニュアンス、香ばしさと肉の旨味が味わえる一皿だ。

初めて美味しいと思ったオレンジワインとの出会いはDario

お店を持とうと意識をし始めてから、好んで行くお店などで、ナチュラルワインにと出会う機会が増え、好む様になったそうだ。お店でお気に入りのボトルを見せていただく。

写真　左）
Angiolino Maule　アンジョリーノ・マウレ / Sassaia La Biancara
昨年、Mellowで一番開けたワイン。こちらはスペシャルエディション
完熟したブドウの酸と旨味が美しい。スルスル飲めるファンが多い

写真　中）
Dario Princic　ダリオ・プリンチッチ / Vino Bianco 2020
ダリオは以前に働いていたお店で初めて入れた自然派のオレンジワイン、当時、ナチュラルワインをあまり飲んでいなかった益田さんが、初めてこれは美味しいと思った生産者

写真　右）
L‘Arco　ラルコ / Rosso del Veronese Pario
ラルコは本当はリパッソが一番好き、ラルコはナチュラルワインにあまり興味がなくて、しっかりとした赤ワインを希望されるお客様にも喜んでもらえる。益田さんお気に入りの生産者だ

デザートもワインを意識した大人のスイーツ

マスカルポーネのプリンを頂く。
芳醇な舌触りとあっさりとホロ苦味のカラメル、益田さんの秘伝メニューだ。

接客をしながら料理を作る、サービスをしながら料理を作る

将来が見えない大学３年の時に訪れたイタリアフィレンツェ、その後、一般企業に就職したものの、学生時代の飲食でのバイトの体験、味わった接客への想いが、当時、常にあったという。

「飲食での経験やイタリアに滞在した体験を生かしたい」一大奮起して、それまで働いてきた貯金を注ぎ込み国立のエコール辻で学び、小さな地元のイタリア料理店、吉祥寺で人気のパスタ専門店、などで修行を積んだ。

「もう少し調理を、もっとワインを」その思いから「DEAN&DELUCA」の厨房へ。ところが、キッチンの中で働いているうちに、サービスの場から隔たれた厨房の中にいるのは性に合わない「作って出したものをその場で直接評価を得られる、お客さんの顔が見え、コミュニケーションかとれる環境で料理と接客がしたい」という想いが強くなっていった。丁度そのころ、大手町の『PASTAVOLA（パスターヴォラ）』のオープニングのスタッフを募集があり、採用され入社を決め、６年ほど務め、店長も任された。

のちに独立開店を目指すようになり、２０２０年2月にMELLOWをオープン。今ではこのエリアで愛される人気店のひとつだ。お客様の顔や名前のみならず、好みまで覚えてしまうという記憶の良さとサービスマインド。
料理、ワイン、お酒、千差万別のお客様の好みに合わせたい。
「自分は料理人というより、お客様と一緒に変化して熟していくお店にしたい」

何かとつけて謙虚な益田さんだが、メロウで頂く料理は、心も喜ぶ美味しさだ。

カウンター８席、５坪ほどの店内にはR&Bやメロウな音楽が流れる。

Interview / photo / text
山脇ミチル｜Michiru Yamawaki

※お店の情報は取材を行った（2022年３月）のものです。
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