醸造方法
10月上旬収獲
50hlのステンレスタンクで発酵そのままシュールリー熟成
軽く濾過・無清澄
SO2は瓶詰め時:10mg/L、トータル:0mg/L
ワイン情報
父エチエンヌの時代から続くスタンダードなキュヴェでステンレス タンクで発酵、そのままシュールリー熟成しSO2を少々添加し瓶詰めしました。
濃いめのグリーンイエロー色、かぼすやスダチ、文旦の香り、凛々しい香り立ちに均等に口中に拡がる柑橘の旨味としっかりとした酸味に完熟トマトのニュアンス、ほろ苦さも感じられる複雑味のある仕上がりです。
生産者情報(インポータ・造り手・問屋情報)
1981年12月5日、サンセール生まれ。家族は代々サンセールで農業を営んでおりました。
そんな自然の環境で生まれ育ったのがセバスチャンです。
お爺様の時代は山羊のチーズや小麦、勿論ブドウ栽培と手広く色んな農業を行っておりました。
そしてお父様エチエンヌの代になり、ブドウ栽培からワイン醸造を手掛けるようになりました。
お父様は無農薬ではありませんでしたが、その当時まだそれ程ポピュラーでなかったDomaineという自社畑・自社醸造・自社瓶詰めをサンセールで根付かせた人物です。
そのお父様に育てられたセバスチャンは7~8歳頃から畑の仕事を手伝い、「絶対にワインを造る!」と決めていたそうです。
自然界に育ったセバスチャンは当然ワイン造りを目指します。
最初にアンボワーズの農業高校でワインを学び、その後ブルゴーニュ・マコンの大学で醸造学を学びます。
そこでクラッシックな醸造を徹底して学びました。が、卒業後直に実家に戻らず、ロンドンに向かいました。
ワイン市場の勉強をする為です。パリではなく、世界のワインマーケットを本格的に学ぶ為です。
そこで今の奥様と出会いました。彼は酒屋さんに務めておりましたが、彼女はまだ学生でした。
彼女はリトアニア人なのですが、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・リトアニア語と5つの言葉を話せる凄い語学力の持ち主です。
日本語にも興味を持っているそうです。
セバスチャンはロンドンのワインショップで勤務した時にナチュラルワインを覚え、その後畑に戻らずパリの「ラ・ヴィーニャ」というワインショップで働きます。
ナチュラルワインに目覚め、そのワインの販売では世界一とも言われるお店で勉強したかったからです。
そこで最先端のワインを勉強しました。
Roch、Pacalet・・・等々、頭から今までのワイン観をひっくり返されたのです。
ロンドンの確立された伝統的なワイン、そしてパリの最先端の情報を先取りしたワインを実際消費者であるお客様とたずさわり、そして2004年にサンセールに戻り本格的に自分のワインを造り始めました。
お父様がまだ現役だったので、最初はお手伝いのような形です。
が、酒屋さんをやっていた時の2003年に0.5haをビオで試し「これなら大丈夫!」と2004年から自分のワインを造ります。
2004年が最初の彼のヴィンテージです。
彼の拘りは最初っからSO2は一切入れない「O・二酸化硫黄」のSans Souflesです。
これで自信を付けた彼は2005年に新しく1haをビオに2006年にまた2haをビオに、徐々に徐々に畑を無農薬に切り替え、2007年には100%完全無農薬の畑にしました。
なので2007年~カリテフランスのビオ認証を取得しました。彼の持ち畑は12ha、この短期間で良くやったと思います。
12haの内訳は11haのソーヴィ二ヨンブラン種、1haのピノノワールです。
そしてお父様が60歳になり引退し、彼が100%切り盛りする事になりました。
でも実際、畑仕事が好きなお父様は今もセバスチャンの仕事を時々お手伝いして下さいます。
セバスチャンに、何代目なのですか?って聞くと
「何代も前から農業を営んでいます。歴史の好きなフランス人が、僕で何代目だと言う人が多いけど、僕はそういうのは言いたくないんだ。
何故ってこの農法は僕が始めて、僕が一代目。でも決して父を否定している訳ではありません。僕と父は方法が違うだけなのです」と。
彼のワイン造りの方法は彼が色々学んで、ここまでたどり着いたものです。
彼の言葉で言う「プルミエ・ゼネラシオン・キ・ア・ショアイジ・ビニュロン・ビオロジック(意訳: ビオロジック農法は僕が初代です)」なのです。
私の質問は単純過ぎたのでした。
彼のトレードマークとも言える髭を見ていると時々年上なのかと思う話しぶりと、子供のような無邪気な一面と・・・とても純粋なお人柄。
ワインの話しをしだすと止まりません。彼は畑の中にいると生き生きとします。
サンセールの畑は畝と畝が1.3mです。ブルゴーニュは1mなので、1haに10,000本のブドウが植わります。
私の畑Touraineは同じロワールでも1.5mの畝なので6600本、そしてこのサンセールは7000本、ロワールの中では限りなくブルゴーニュに近い本数のブドウが畑に植わっているので手入れが大変です。
セバスチャンはその密度の高いブドウの剪定に拘ります。
ブルゴーニュの拘った生産者と同じ方法なので、結果10,000本植えているブルゴーニュより、7000本のサンセールの方が収量ははるかに少なくなります。
その方法とは1本のブドウの木にギヨーサンプルで4芽だけ残します。ですから収量がぐっと少なくなり、ワインの濃縮度がぐっと高まります。
これだとどんなに頑張っても収量はMax30hl/ha、ですから剪定からブルゴーニュの特級畑と同じ位の収量なのです。
彼のワインの秘密はこの剪定方法から始まります。
当然畑の中は化学肥料を使わず、テロワールを最大限表現出来る環境作りに専念します。
結果1粒1粒の大きさは小さく、ギュッと凝縮された旨みの詰まったブドウが出来あがります。
剪定の方法もユニークです。
彼と畑を歩いている時にあるパワーの強いブドウに出会ったら「このブドウはどう剪定する?」って聞かれ、
私が「この枝とこの枝を残し主にして、これを切ってこの芽だけ残すわ」って答えたら、その方法が彼と同じだったのです。
所謂醸造学校で学ぶ、剪定方法と違うのです。
どう違うか?と言うと、我々はブドウの木のエネルギーを読み取ります。それは感覚なのですが、レシピには書いておりません。ブドウとの対話なのです。
私は他の栽培家と違って醸造高校を出ておりません。いっきにオノローグの分野に行ったので、実務経験は彼らの方が上なのです。
が、セバスチャンはどちらも学んでおりますが、最終的にはブドウの神様の声を聞きます。私も同じ考えです。
なので剪定方法も自然と似るし、考え方がとても良く解るのです。
彼の畑の守り方は凄い拘りがあります。
無農薬をベースにスパルタ教育でありながら最終的にはブドウに限りなく優しい農法を選んでおります。
基本は放っておくのです。甘やかせていてはいけません。
それが肥料であり、土の興し方でもあるのですが、必要な時に手を差し伸べます。
35もの違う個性の畑を管理するのですから、その子達のリズムを読み取らないといけません。
ソーヴィニヨンブランは11haですが、その中の4haが上のクラスの畑、その4haは一切トラクターを使用しないで100%馬で手入れをするのです。
その仕事量は半端ではありません。そうそうここだけの話しですが、その肥料は勿論愛情を沢山注いでいる馬にも協力をして貰っておりま~す。
ゆっくりと発酵し、その後1年ゆっくりと熟成させます。マロラティックを急がないのです。
醸造家としては理想的ですが、輸入会社としては困る面もあるのですが…(笑)
無理に温度を上げたり、MLFを促進させる事は一切行いません。
全てはブドウの神様に委ねた醸造方法、ひたすら待つのみです。最初は大きなタンクで発酵させ、樽に移し替えるのです。
私はタンク発酵を行った事がないので解りませんが、セバスチャンが言うには冬の朝の日課は、醸造所に出勤して、まず発酵チェックを最初に行います。
その方法はタンクの上の部分の音を聞いて、次にタンクの中位の部分の音を聞きます。
最後に一番下の部分の音を聞きます。1つの同じタンクでもチチチチチ・・・という速度が違うのです。それを毎朝毎朝確認するのです。
面白いな~と思いました。私は樽発酵しかした事がないので、物理的に樽の上からの音しか確認できません。
それでも充分面白いのですから、タンクの3ヶ所が全く違う音を奏でるのは本当に楽しい事なのでしょうね。
サンセールはロワールの中でも収穫は遅い生産地です。
その遅い生産地の中でもセバスチャンはさらに熟度を上げる為、他の人たちよりも2週間位収穫を伸ばします。
その徹底ぶりは半端ではありません。
今まで色んな生産者を日本に紹介してきましたが、彼は天然の天才醸造家、嫌みのない素朴な純粋なヴィニュロンです。
とってもとっても素敵な生産者です。
(インポーター様資料より)