ワインの種類について、ご存知でしょうか。恥ずかしながら私はワインの種類となると、赤ワイン・白ワイン・・・?といった色別で考えていました。
どうやら、色分けよりも醸造方法によって分けられた、4つの種類があるようです。何やら聞き慣れない言葉が多くありますが、一つずつご紹介していきたいと思います。
(1)スティルワイン[Still Wine]
(2)スパークリングワイン[Sparkling Wine]
(3)フォーティファイドワイン[Fortified Wine]
(4)フレーバードワイン[Flavored Wine]
(1)スティルワイン[Still Wine]
スティルとは「静かな」「じっとした」という意味があり、「泡立たない、炭酸が入ってない=非発泡性のワイン」という意味でも使われます。いわゆる、発泡性ではないワインのことを言います。
スティルワインのアルコール度数はだいたい9〜15%が多いようです。色の分類は以下になりますが、あくまで視覚的な分類となり造り方やブドウ品種で区別されたものではありません。
赤ワイン
赤ワインは、黒色のブドウ品種から造られています。状態によって色も様々で、若いワインですと色が強い紫色、熟したワインは赤レンガ色、さらに古いワインは茶色、といった色相の幅が豊かであることが大きな特徴です。
黒ブドウの果皮や種子ごと発酵させており、果皮の色が赤いため、ワインの色も赤くなります。また、種子に抗酸化作用があるタンニンが含まれており、赤ワイン特有の渋みはこのタンニンによるものです。
白ワイン
白ワインは、白ブドウ品種の果皮と種子を取り除き、果汁のみを使用して造られています。色は、透明な黄色、麦わら色、黄緑色、黄金色をしています。
白ワインは、使用されるブドウ品種、醸造方法、糖の残量割合などが多種多様であることからバラエティに富んでいます。また、ワインの渋みとなる果皮や種子を取り除いて造られるため、タンニンが少なく口当たりが軽やかでフルーティーな甘さとなります。
ロゼワイン
ロゼワインは、美しいピンク色が大きな特徴で、見た目も綺麗で味も軽く飲みやすいため、女性にも人気があります。ロゼはフランス語で「バラ色」を意味し、少しオレンジがかった濃いピンク色を表しています。明るい色や淡い朱、紫がかった濃いピンクなど、様々な色合いを楽しむことができます。
ロゼワインを技術的に定義するものはありませんが、赤ワイン同様に黒ブドウ品種を使用し、発酵の途中で果皮を取り出し赤ワインと白ワインの中間色に仕上げるもの、白ワインと同じ手法を用いて造るものと、様々です。
オレンジワイン
オレンジワインは、白ブドウ品種から造られています。醸造方法は赤ワインと同じで果皮や種子ごと発酵させており、オレンジ色や琥珀色になっています。白ワインのフルーティーさに赤ワイン特有の渋みやコクが感じられる、表情豊かな好奇心がくすぐられる味わいです。
最近耳にするようになった「オレンジワイン」ですが、実はその醸造方法は古く、ワイン発祥の地東ヨーロッパのジョージアで数千年前から造られていたといいます。また「オレンジワイン」という用語ができたのは2000年代で、イギリスのワイン輸入業者によって造られました。
(2)スパークリングワイン[Sparkling Wine]
スパークリングワインは、その名の通り「スパークリング=発泡する」という意味で、炭酸ガスを含む発泡性のあるワインです。0.5〜1気圧のワインは微発泡性、1〜2.5気圧のワインは弱発泡性と分類され、3気圧以上ある強発泡性がスパークリングワインとなります。スパークリングワインのアルコール度数はだいたい10~12%くらいです。
よく言われる「シャンパン」はスパークリングワインの一種ですが、フランスのシャンパーニュ地方でAOC法の規定を満たしたものだけが正式に「シャンパーニュ」を名乗ることができ、それ以外の飲料を「シャンパン」として流通させるのは違法です。スパークリングワインの呼び名は産地や原料で呼び方が異なります。
(3)フォーティファイドワイン[Fortified Wine]
フォーティファイドとは、「(酒精)強化」のことで、醸造の過程でブランデーなどのアルコール(酒精)を加えるため、アルコール度数が高くなるのが特徴です。発酵が完了する前にアルコールを加えると、酵母の活動が働かなくなり、ワインの中にある糖分が残って甘くなる特性があります。また、アルコールを加えるため、一般的なワインに比べフォーティファイドワインのアルコール度数は、だいたい16~22%くらいになります。アルコール度数を高めることで、温度管理が困難な産地でも、酸化や腐敗を防ぎながら保管ができます。
世界3大フォーティファイドワインといえば、以下が挙げられます。
ポートワイン(ポルトガル・ドウロ地方)
食後酒(デザートワイン)として有名で、黒ブドウ品種から造られたワインを「レッド・ポート」、白ブドウ品種から造られたものを「ホワイトポート」と呼んでいます。その中でも「レッド・ポート」は「ルビータイプ」と「トウニータイプ」の2種類があります。
ルビータイプはワインの色が宝石のルビー色をしていることから「ポルトガルの宝石」とも呼ばれています。
トウニータイプは樽で長期間熟成させることによって、通常よりも酸化を進ませ、ワインの色が黄褐色に変化したものを言います。
シェリー(スペイン・アンダルシア地方)
シェリーの産地は通称「シェリー・トライアングル」と言われる、「ヘレス・デ・ラ・フロンテラ」「サンルカール・デ・バラメーダ」「エル・プエルト・デ・サンタ・マリア」の3つの街を中心に広がっています。原料は白ブドウで、「パロミノ」「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」の3品種のみが使用できます。
マデイラ(ポルトガル・マデイラ島)
マデイラは、アルコール(酒精)を加えた後に加熱処理が行われるため、独特な風味をもつ特徴があります。甘口から辛口まで様々ですが、甘口のマデイラは食後酒(デザートワイン)として、辛口のマデイラは食前酒として飲まれています。
(4)フレーバードワイン[Flavored Wine]
フレーバードワインは、「フレーバード=風味をつけた」ワインです。ワインにスパイス・ハーブの蒸留酒または果汁・甘味料を加え、風味をつけた強い香りが大きな特徴です。
食前酒として楽しんだり、カクテルの材料として使用されるワインです。様々なフレーバードワインが生産されており、代表的なフレーバードワインといえば、以下が挙げられます。
ベルモット(イタリア/フランス)
白ワインをベースに、ヨモギや香料・スパイスを配合したフレーバードワインで、「チンザノ」が有名です。
サングリア(スペイン)
赤ワインにオレンジやレモンといった柑橘系の果汁や、リンゴ・バナナなどの果実を漬け込み、シロップを加えたフレーバードワインです。甘みがあるため、ワインが苦手な人でも楽しめます。
グリューワイン(ドイツ)
日本で言ういわゆる「ホットワイン」と呼ばれるもので、赤ワインにシナモンやクローブなどの香辛料、砂糖やシロップを加えて造ります。クリスマスなどの寒い季節に楽しめるワインです。
フランスでは白ワインを使う地方もあります。
大きく分類した4種類の中にも、さらに細かく区別されているようですね。全てを覚えるのはなかなか難しいですが、ひとまず「スティルワイン」「スパークリングワイン」「フォーティファイドワイン」「フレーバードワイン」の違いを何となく覚えておけば、ワインを選ぶ時の参考になりそうです。
ざっくりとおさらいしますと、下記のようにまとめられます。
ワインの種類
スティルワイン | 非発泡性のワイン |
スパークリングワイン | 発泡性のワイン |
フォーティファイドワイン | ブランデーなどのアルコールを加えたワイン |
フレーバードワイン | 果実やスパイス・ハーブなどを加えたワイン |
気になるワインの種類はありましたでしょうか?季節や飲みたいシチュエーションによって、選んでみるのも面白いかもしれません。一人でゆっくり飲みたい時、大切な人と一緒に味わいたい時・・・。あなたの生活スタイルに合わせてぴったりのワインを楽しんでくださいね。